スマホやイヤホンなどの仕様を見ていると、「IPX6」や「IPX8」など目にすることあると思います。
IPXとは防水性能を表すものなんですが、詳しい内容をネット検索すると「IPXの数字が大きい(等級が高い)ほど防水性能がいい」と書かれていることがあります。
しかし、これ少し間違っているんですよね…。
その辺について、この記事では、詳しく解説できたらと思います。
「IP」は防塵・防水の性能を示している
そもそも「IP」は防塵・防水の等級のことで、それぞれどの程度かを示すものです。「IP○X」は防塵性能を、「IPX○」は防水性能を表しています。
例えば、「IP36」のように連続で数字が入っていた場合、「IP3X」等級の防塵性能と「IPX6」等級の防水性能の両方があるという事になります。
「IPX=防水等級」は8つの等級がある
防水性能を表す「IPX」には8つの等級があります。
等級 | 定義 |
---|---|
IPX0 | 無保護 |
IPX1 | 鉛直に落下する水滴によっても有害な影響を及ぼしてはならない |
IPX2 | 外郭が鉛直に対して両側に15°以内で傾斜したとき、鉛直に落下する水滴によっても有害な影響を及ぼしてはならない |
IPX3 | 鉛直から両側に60°までの角度で噴霧した水によっても有害な影響を及ぼしてはならない |
IPX4 | あらゆる方向からの水の飛まつによっても有害 影響を及ぼしてはならない |
IPX5 | あらゆる方向からのノズルによる噴流水によっても有害な影響を及ぼしてはならない |
IPX6 | あらゆる方向からのノズルによる強力なジェット噴流水によっても有害な影響を及ぼしてはならない |
IPX7 | 規定の圧力及び時間で外郭を一時的に水中に沈めたとき,有害な影響を生じる量の水の浸入があってはならない |
IPX8 | 関係者間で取り決めた条件下(IPX7より厳しいもの)で外郭を継続的に水中に沈めたとき,有害な影響を生じる量の水の浸入があってはならない |
IPXの定義を見てみると、「IPX1〜6」と「IPX7以上」で明確な違いがあります。
IPX1〜6は「水滴や流水に対しての防水機能」、IPX7・8は「浸水に対しての防水機能」になっています。
例えば、流水に耐えられるからと言って、浸水に耐えられるとは限らないですよね?その逆も然りで、浸水に耐えられるからと言って、激しい流水に耐えられるとは限りません。
つまり、「IPX1〜6」と「IPX7・8」は防水性能を表してはいますが、別物として捉える必要があります。
IPXの等級が高いほど優れているわけではない⁈
IPX6までは*下位の条件を満たしているため、数字が高い方がシンプルに防水機能が優れていると言えます。
*IPX6の場合はIPX1〜5の条件を、IPX4の場合はIPX1〜3の条件を満たしている。
一方で、IPX7やIPX8の場合は、必ずしも下位の条件を満たしているという訳ではありません。特にIPX5・6の水の噴流にさらされることには適さないと考えられています。
なので、「IPXの等級(数字)が大きければ大きいほど、防水性能に優れている」というのは少し間違いになります。
最強の防水性能は「IPX6/IPX8」の二重表示!
IPX5とIPX6は「水の噴流に対する防水性能」を、IPX7とIPX8は「浸水に対する防水性能」というように、防水といっても種類があるわけです。
IPX6あったとしても、浸水に対しての防水機能があるわけではないし、IPX8あってもシャワーなどの流水にさらすと壊れるかもしれません。
ということは、「水の噴流」と「浸水」の両方に対する防水性能があるといいんじゃねってことなりますよね?
「浸水」と「水の噴流」の双方に対しての防水性能を持つ場合、防水等級を表すIPXは二重表示が可能です。
よって、IPXの表記で最も優れた防水性能を発揮できるのは、「IPX6/IPX8」の二重表示ということになります。
まとめ
防水等級を表すIPXは、数字が大きいほど、防水性能が高いというわけではありません。
IPX5・IPX6は「水の噴流に対しての防水性能」が、IPX7・IPX8は「浸水に対しての防水性能」が示されていて、それぞれ定義の役割が異なっています。
この両方に対応している場合は二重表示が可能で、「IPX6/IPX8」の表示があるものは最強の防水性能を持っていると言えます。
そもそも、防水等級のIPXの数字を気にして製品を買うのは稀だと思いますが、IPXの表示を見かけた際はぜひ参考にしてみてください。