スマホやイヤホンなどの仕様を見ると「IPX6」や「IPX8」といった表記を目にすることあると思います。
この「IPX」というのは、防水性能を示しているものです。詳しい内容をネット検索すると「IPXの数字が大きい(等級が高い)ほど防水性能がいい」と書かれていることがあります。
しかし、これ少し間違っているんですよね…。
何が間違いなのか?その辺について詳しく解説していきます。
目次
IP=防塵防水の性能
そもそも「IP」とは、防塵・防水の性能を表すもので「IP◯X=防塵性能」「IPX◯=防水性能」を示します。
例えば「IP56」という表記では、以下のようにな意味になります。
- 「IP5X」等級の防塵性能
- 「IPX6」等級の防水性能
このように防塵と防水の等級は、まとめて表記されることが多いです。
IPXには 0〜8 の等級がある
防水性能を表す「IPX」は、IPX0〜IPX8まで 全部で9つの等級に分かれています。
防水等級 | 定義 |
---|---|
IPX0 | 無保護 |
水滴に対する防水性能 | |
IPX1 | 鉛直に落下する水滴によっても有害な影響を及ぼしてはならない |
IPX2 | 外郭が鉛直に対して両側に15°以内で傾斜したとき、鉛直に落下する水滴によっても有害な影響を及ぼしてはならない |
噴霧や飛沫に対する防水性能 | |
IPX3 | 鉛直から両側に60°までの角度で噴霧した水によっても有害な影響を及ぼしてはならない |
IPX4 | あらゆる方向からの水の飛まつによっても有害 影響を及ぼしてはならない |
噴流水に対する防水性能 | |
IPX5 | あらゆる方向からのノズルによる噴流水によっても有害な影響を及ぼしてはならない |
IPX6 | あらゆる方向からのノズルによる強力なジェット噴流水によっても有害な影響を及ぼしてはならない |
浸水に対する防水性能 | |
IPX7 | 規定の圧力及び時間で外郭を一時的に水中に沈めたとき,有害な影響を生じる量の水の浸入があってはならない |
IPX8 | 関係者間で取り決めた条件下(IPX7より厳しいもの)で外郭を継続的に水中に沈めたとき,有害な影響を生じる量の水の浸入があってはならない |
各防水等級の定義を見てみると「IPX1〜IPX6」と「IPX7・IPX8」で、明確に違うことが分かると思います。
流水に耐えられるからと言って、浸水に耐えられるとは限らないですよね? また、その逆も然りで、浸水に耐えられるからと言って、激しい流水に耐えられるとは限りません。
つまり、「IPX1〜IPX6」と「IPX7・IPX8」は 全く別の防水機能と捉える必要があります。
IPX6までは下位の等級を満たす
IPX6までは下位等級の条件をクリアしています。つまり、IPX6ならIPX1〜5の条件を満たしているし、IPX4ならIPX1〜3の条件を満たしているわけです。
そのため、IPX6までの防水等級に関しては、シンプルに数字が高いほど防水機能が優れていると言えます。
IPX7/IPX8は下位の等級を満たしているわけでない
一方で、IPX7とIPX8の防水等級には「IPX6以下の条件を満たす必要がある」といった決まりはありません。さすがに水滴や噴霧・飛沫に対しての防水機能は十分ありますが、IPX5/IPX6 の定義である「噴流水に対する防水性能」に関しては未知数と言えます。
最強の防水性能は「IPX6/IPX8」の二重表示!
IPX1〜IPX6=「水滴・噴霧・飛沫・噴流水」に対する防水性能、IPX7とIPX8=「浸水」に対する防水性能 というように役割が異なります。つまり、IPX6のデバイスが水没にどれだけ耐えられるかは未知数ですし、IPX8のデバイスであっても高水圧の噴流水にさらすと壊れるかもしれない というわけです。
そこで、双方に対しての防水性能を持つ場合は、二重表示(2つのIPコードを並べて表示)されることが多いです。そのため、防水等級「IPX」においては「IPX6/IPX8」が最も優れた防水機能を示していることになります。
まとめ
防水等級を表す「IPX」は、数字が大きいほど高い防水機能を発揮するわけではありません。
上記のように「IPX1〜IPX6」と「IPX7・IPX8」では防水機能の役割が異なるため、「IPX6/IPX8」の二重表示が最強の防水機能となります。